2010年 02月 03日
奈良・富雄「アコルドゥ(akordu)」2010年1月のディナー
レストラン「アコルドゥ」は、現在、奈良・水門町(奈良公園の一角)で営業されています。(2016年12月リニューアルオープン)2014年3月末までは奈良・富雄にありました。以下、2010年にいただいたディナーのレポートです。(2017年3月)
奈良・富雄にあるモードスパニッシュレストラン「アコルドゥ」。2009年11月にディナーのショートコース(6品)に感激し、またいつか奈良に行くことがあったら、今度はフルコース(10品)「クロロフィリア」に挑戦しようと思っていた矢先、また奈良行きのチャンスが巡ってきました。ラッキー!今度こそ。
・2009年11月の「アコルドゥ」グルメレポートはこちら。
念願のディナー「クロロフィリア(10品)」をご紹介しますね。
今回もテラス席ですが、まだ他のお客様がいらっしゃらないうちに、レストラン内をちょこっと撮影させていただきました。アールヌーボー調のガラスが美しい。ここでパーティーなんかやったら、最高ですね。
さて、席について「クロロフィリア」のはじまりです。
マルコナ・アーモンドのアホ・ブランコ ダウロ・オイル
以前いただいたアホ・ブランコ(白いアーモンドスープ)は液体でしたが、今回はムースのようなクリーム状です。上にのっているのは、ペドロヒメネスのジェル。アーモンドはマルコナ種、オリーブオイルは最高級のダウロ。素材の味を活かしたアレンジに、さすが〜!と感嘆しつつも好みで言えば、単純にスープのほうが嬉しかったりして。
潰した芋と“炭”チョリソー風味の玉葱と農家産の半熟卵
これは傑作。上下の黒い紙状のものも食べられます。黒い紙は自家製で、竹炭パウダーをポテトに混ぜてシート状に伸ばし焼いたものだそう。これがパリパリしておいしいの。ポテトと半熟卵もねっとりといい具合です。
スペイン、イタリアのオイル ヒマラヤの塩
ショートコースでは2種類だったオイルが、フルでは4種類です。左のクリーム状のものは、発酵バターとオイルをまぜたものです。これ、いいですね、バターとオリーブオイルのいいとこどり。さっそく真似したい。パンもおいしい。
フォアグラのテリーヌ 小芋とウニ バニラオイルと酵母の泡
このテリーヌは最高です。このときのワインは白だったのだけど、ああ、赤が欲しいと思ってしまいました。小芋とウニという意外な組み合わせもしっくりと馴染んでいます。量もちょうどいい。ただ、テリーヌの力強い味の印象が強くてバニラオイルと酵母の泡の繊細さを感じる暇がなかった・・・。わが味覚の未熟さを呪う。
根の香りとアブラナ科の小さな世界 ビーツの赤いヴェールと吉野の野鹿のコンソメ
これは器からして、驚かせてくれます。どのお料理にも言えるのだけれど、温かな料理は器も温かく
冷たい料理は冷たくしてあって、このガラスの器はじんわり温かい。器のふちをてのひらで包むと、ホッカイロのような温かさ。
器の中は空洞で洗うのが大変そう?などと思ってしまいますが、頂くときにそんなことを考えていてはいけませんね。この宙に浮いたように見える赤い世界に注目です。
ビーツの赤を活かしたヴェールは寒天で作っているそうで、その下にはまるっこい蕪や菜の花や何かぷちぷちしたものが宝石のようにころころと入っています。そこに野鹿のコンソメを注いでくれます。
熱いスープなのにヴェールは溶けません。確かに根菜の香りがするし、菜の花の小花がアクセントになって上品な早春の味が口いっぱいに広がります。見事ですね。器と色にとらわれて、味わうのを忘れてしまいそうな一品でした。
白子とあおさ レモングラスのインフュージョン ある海の香り
今回のコースのなかで一番のお気に入りです。白子を覆っているのはパリパリに揚げたあおさのフリット。クリーミーな白子とあおさ海苔の天ぷらの組み合わせが素晴らしい。
レモングラスのさわやかなスープには、生姜かなにかオリエンタルな風味もあってなんだろうと思ったら、トムヤンクンの調味料が入っているとのこと。いやあ凝ってます。トッピングのあられとねぎもいいアクセント。あと2〜3個食べたいくらいでした。
甘辛い魚 煮魚のイメージ 牛蒡 青菜 生姜の泡
煮魚といえば煮魚だけど、照り焼き風でもあり、おもしろい。魚はほうぼう。前回も思ったのだけれど、魚にしろ肉にしろ、火の入れ具合がいいんですよね。そして余計な雑味がない。下処理をきちんとして、素材の良さを引き立てるよう丁寧に調理をされてることがわかる一品でした。
コラーゲンのリゾット ハモン・イベリコのクリスピー
これは好き嫌いのわかれる料理でしょうね。ちなみにわたしは、苦手なほう。豚足や牛テールの煮込みなどが入ったリゾットで、コラーゲンたっぷりなのはわかるのですが、ややしつこさが目立って、ううう。お米の仕上がりは抜群なんですけどね、ううう。
牛頬肉の30時間火入れと炭火焼野菜の涙“ひとり静か”月桂樹と世界の胡椒ミックス「マダカスカル、テリチェリ、サラクワ、キュベベ、タスマニア、ジャマイカ、マラバー、グリーン、ピンク、山椒」
コラーゲンのリゾットの印象をひきずったまま、こちらの料理に。
30時間の火入れだけあってやわらかく、牛にしては上品なお味。炭火焼き野菜(タマネギなど)から抽出したコンソメのソースがコクがあるのにくどくない。胡椒と塩でさっぱりといただけるのですが、なんせリゾットの続きの雰囲気が漂って、こちらの気分がのらない。ごめんなさい。ネーミングが素敵なのにねえ。(涙)
ステーキとかカツとか、ガツンと方向転換できるものだったら嬉しかったのだけど、まあ、好みの問題ですからね。
スペイン 羊たちのチーズ
バスクのチーズ「イディアサバル」とメンブリージョ。胡桃を食べてしまってから、撮影していなかったと気付きました。盛りつけのバランスが崩れていますが、まあ、こんな感じ。
どのお料理も、メインとソースやつけあわせ、器と料理が、絶妙のバランスで成り立っているんですよね。盛りつけ、配置の美しさにうっとりです。
チーズは羊乳のくせがなく甘みがあっておいしい。
ピスタチオカスタードと粉 乾いた雪 切なさのコーヒークリーム
底にピスタチオカスタード、その上にコーヒークリーム、一番上がメレンゲでできた「乾いた雪」です。コーヒークリームは時間とともにしゅわしゅわと小さくなっていくので急いで食べなくてはいけません。ほんま切ないなあ。乾いた雪はパリパリで、それを崩しながらいただきました。
カスタードは、ピスタチオ味じゃないほうが好きなのだけれど、でも、これがこだわりなのかもしれませんね。
カカオ/スターアニス/メントール 寄せる波、岩場と砂。塩の香りと波の音 普遍的で永遠のもの
最後のデザートは、詩的で哲学的でやや難解です。目の前でスターアニスのシロップを注いでくれるのですが、それがまるで波打ち際に寄せる波のよう。波に触れた砂(カカオ?)は次第に広がっていき時がゆったりと流れ、ミント味のアイスを味わいながら静かにディナーの余韻に浸ります。
岩に見立てた固形は、何をコーティングしているのかわかりませんが本物そっくりです。中身はマシュマロとフィナンシエ。
中島シェフはスペイン「ムガリツ」でこのデザートに出合い、心をわしづかみにされたそうで、この世界観がアコルドゥの原点なんですね。
前回の「月面の月、スミレの海」でもそうだったけど、繊細な味の饗宴がお皿の上で繰り広げられて、ほんとうっとりでした。
飲み物は、食中、ビッチーカタラン(ほんのり塩味の発泡水)、シェリー(フィノ)、ワインの白・赤をグラスでいただきました。最後に、コーヒー、紅茶、ハーブティーから選べ、わたしは今回もハーブティをチョイス。フレッシュハーブの調合がとてもいいのです。
クロロフィリア(10品)は、ただ舌で味わうだけでなく五感をフルに活用して愉しむ、パーソナル劇場型ディナー。(勝手に名付けちゃいました!)
どれだけその世界が堪能できるかは、人それぞれの感性にゆだねられているため、半分試されてるようでもあります。うう、ただのミーハー食いしん坊ってのが、バレバレやねえ。
とはいえ、今回もまた既成の概念を打ち破り、驚きと感動の心揺さぶる料理の数々であったことは確かです。地元に愛され、食通をも唸らせるモードスパニッシュレストラン。次はどんな世界を見せてくれるのでしょう。また行きますぞい!
気軽に愉しむにはランチ、アコルドゥの世界観を堪能するには、ディナーがおすすめです。
<参考リンク>
・「アコルドゥ」サイト
・6品コースをいただいたときのグルメレポート
・おでかけスペイン料理レストラン&スペインバル
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
奈良・富雄にあるモードスパニッシュレストラン「アコルドゥ」。2009年11月にディナーのショートコース(6品)に感激し、またいつか奈良に行くことがあったら、今度はフルコース(10品)「クロロフィリア」に挑戦しようと思っていた矢先、また奈良行きのチャンスが巡ってきました。ラッキー!今度こそ。
・2009年11月の「アコルドゥ」グルメレポートはこちら。
念願のディナー「クロロフィリア(10品)」をご紹介しますね。
今回もテラス席ですが、まだ他のお客様がいらっしゃらないうちに、レストラン内をちょこっと撮影させていただきました。アールヌーボー調のガラスが美しい。ここでパーティーなんかやったら、最高ですね。
さて、席について「クロロフィリア」のはじまりです。
マルコナ・アーモンドのアホ・ブランコ ダウロ・オイル
以前いただいたアホ・ブランコ(白いアーモンドスープ)は液体でしたが、今回はムースのようなクリーム状です。上にのっているのは、ペドロヒメネスのジェル。アーモンドはマルコナ種、オリーブオイルは最高級のダウロ。素材の味を活かしたアレンジに、さすが〜!と感嘆しつつも好みで言えば、単純にスープのほうが嬉しかったりして。
潰した芋と“炭”チョリソー風味の玉葱と農家産の半熟卵
これは傑作。上下の黒い紙状のものも食べられます。黒い紙は自家製で、竹炭パウダーをポテトに混ぜてシート状に伸ばし焼いたものだそう。これがパリパリしておいしいの。ポテトと半熟卵もねっとりといい具合です。
スペイン、イタリアのオイル ヒマラヤの塩
ショートコースでは2種類だったオイルが、フルでは4種類です。左のクリーム状のものは、発酵バターとオイルをまぜたものです。これ、いいですね、バターとオリーブオイルのいいとこどり。さっそく真似したい。パンもおいしい。
フォアグラのテリーヌ 小芋とウニ バニラオイルと酵母の泡
このテリーヌは最高です。このときのワインは白だったのだけど、ああ、赤が欲しいと思ってしまいました。小芋とウニという意外な組み合わせもしっくりと馴染んでいます。量もちょうどいい。ただ、テリーヌの力強い味の印象が強くてバニラオイルと酵母の泡の繊細さを感じる暇がなかった・・・。わが味覚の未熟さを呪う。
根の香りとアブラナ科の小さな世界 ビーツの赤いヴェールと吉野の野鹿のコンソメ
これは器からして、驚かせてくれます。どのお料理にも言えるのだけれど、温かな料理は器も温かく
冷たい料理は冷たくしてあって、このガラスの器はじんわり温かい。器のふちをてのひらで包むと、ホッカイロのような温かさ。
器の中は空洞で洗うのが大変そう?などと思ってしまいますが、頂くときにそんなことを考えていてはいけませんね。この宙に浮いたように見える赤い世界に注目です。
ビーツの赤を活かしたヴェールは寒天で作っているそうで、その下にはまるっこい蕪や菜の花や何かぷちぷちしたものが宝石のようにころころと入っています。そこに野鹿のコンソメを注いでくれます。
熱いスープなのにヴェールは溶けません。確かに根菜の香りがするし、菜の花の小花がアクセントになって上品な早春の味が口いっぱいに広がります。見事ですね。器と色にとらわれて、味わうのを忘れてしまいそうな一品でした。
白子とあおさ レモングラスのインフュージョン ある海の香り
今回のコースのなかで一番のお気に入りです。白子を覆っているのはパリパリに揚げたあおさのフリット。クリーミーな白子とあおさ海苔の天ぷらの組み合わせが素晴らしい。
レモングラスのさわやかなスープには、生姜かなにかオリエンタルな風味もあってなんだろうと思ったら、トムヤンクンの調味料が入っているとのこと。いやあ凝ってます。トッピングのあられとねぎもいいアクセント。あと2〜3個食べたいくらいでした。
甘辛い魚 煮魚のイメージ 牛蒡 青菜 生姜の泡
煮魚といえば煮魚だけど、照り焼き風でもあり、おもしろい。魚はほうぼう。前回も思ったのだけれど、魚にしろ肉にしろ、火の入れ具合がいいんですよね。そして余計な雑味がない。下処理をきちんとして、素材の良さを引き立てるよう丁寧に調理をされてることがわかる一品でした。
コラーゲンのリゾット ハモン・イベリコのクリスピー
これは好き嫌いのわかれる料理でしょうね。ちなみにわたしは、苦手なほう。豚足や牛テールの煮込みなどが入ったリゾットで、コラーゲンたっぷりなのはわかるのですが、ややしつこさが目立って、ううう。お米の仕上がりは抜群なんですけどね、ううう。
牛頬肉の30時間火入れと炭火焼野菜の涙“ひとり静か”月桂樹と世界の胡椒ミックス「マダカスカル、テリチェリ、サラクワ、キュベベ、タスマニア、ジャマイカ、マラバー、グリーン、ピンク、山椒」
コラーゲンのリゾットの印象をひきずったまま、こちらの料理に。
30時間の火入れだけあってやわらかく、牛にしては上品なお味。炭火焼き野菜(タマネギなど)から抽出したコンソメのソースがコクがあるのにくどくない。胡椒と塩でさっぱりといただけるのですが、なんせリゾットの続きの雰囲気が漂って、こちらの気分がのらない。ごめんなさい。ネーミングが素敵なのにねえ。(涙)
ステーキとかカツとか、ガツンと方向転換できるものだったら嬉しかったのだけど、まあ、好みの問題ですからね。
スペイン 羊たちのチーズ
バスクのチーズ「イディアサバル」とメンブリージョ。胡桃を食べてしまってから、撮影していなかったと気付きました。盛りつけのバランスが崩れていますが、まあ、こんな感じ。
どのお料理も、メインとソースやつけあわせ、器と料理が、絶妙のバランスで成り立っているんですよね。盛りつけ、配置の美しさにうっとりです。
チーズは羊乳のくせがなく甘みがあっておいしい。
ピスタチオカスタードと粉 乾いた雪 切なさのコーヒークリーム
底にピスタチオカスタード、その上にコーヒークリーム、一番上がメレンゲでできた「乾いた雪」です。コーヒークリームは時間とともにしゅわしゅわと小さくなっていくので急いで食べなくてはいけません。ほんま切ないなあ。乾いた雪はパリパリで、それを崩しながらいただきました。
カスタードは、ピスタチオ味じゃないほうが好きなのだけれど、でも、これがこだわりなのかもしれませんね。
カカオ/スターアニス/メントール 寄せる波、岩場と砂。塩の香りと波の音 普遍的で永遠のもの
最後のデザートは、詩的で哲学的でやや難解です。目の前でスターアニスのシロップを注いでくれるのですが、それがまるで波打ち際に寄せる波のよう。波に触れた砂(カカオ?)は次第に広がっていき時がゆったりと流れ、ミント味のアイスを味わいながら静かにディナーの余韻に浸ります。
岩に見立てた固形は、何をコーティングしているのかわかりませんが本物そっくりです。中身はマシュマロとフィナンシエ。
中島シェフはスペイン「ムガリツ」でこのデザートに出合い、心をわしづかみにされたそうで、この世界観がアコルドゥの原点なんですね。
前回の「月面の月、スミレの海」でもそうだったけど、繊細な味の饗宴がお皿の上で繰り広げられて、ほんとうっとりでした。
飲み物は、食中、ビッチーカタラン(ほんのり塩味の発泡水)、シェリー(フィノ)、ワインの白・赤をグラスでいただきました。最後に、コーヒー、紅茶、ハーブティーから選べ、わたしは今回もハーブティをチョイス。フレッシュハーブの調合がとてもいいのです。
クロロフィリア(10品)は、ただ舌で味わうだけでなく五感をフルに活用して愉しむ、パーソナル劇場型ディナー。(勝手に名付けちゃいました!)
どれだけその世界が堪能できるかは、人それぞれの感性にゆだねられているため、半分試されてるようでもあります。うう、ただのミーハー食いしん坊ってのが、バレバレやねえ。
とはいえ、今回もまた既成の概念を打ち破り、驚きと感動の心揺さぶる料理の数々であったことは確かです。地元に愛され、食通をも唸らせるモードスパニッシュレストラン。次はどんな世界を見せてくれるのでしょう。また行きますぞい!
気軽に愉しむにはランチ、アコルドゥの世界観を堪能するには、ディナーがおすすめです。
<参考リンク>
・「アコルドゥ」サイト
・6品コースをいただいたときのグルメレポート
・おでかけスペイン料理レストラン&スペインバル
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
#
by kimamaspain
| 2010-02-03 13:06
| レストラン